競歩選手の藤井菜々子さん。2025年の日本選手権で、これまでの日本記録を1分以上更新する、1時間26分33秒をマークした(写真提供:(株)エディオン)
2025年、日本選手権と世界陸上で女子20km競歩の日本新記録を樹立した、競歩選手の藤井菜々子さん。その活躍から、日本陸上競技連盟の年間最優秀選手に選ばれました。今、大注目のアスリートの素顔は――(構成:山田真理)

前編よりつづく

すべての感覚を言葉にしたい

長距離走で体力がついていたこと、手足が長く股関節が柔軟なことなど、もともと身体面で私は競歩に向いていたのかもしれません。もう1つ、競歩で世界と戦うために重要なのが、メンタルの強さだと思っています。

選手同士の心理的な駆け引きがあるのに加え、審判員からつねに厳しいチェックを受ける競技です。大事な試合で警告を出されたとき、気持ちが乱れればフォームや試合運びにも影響が出てしまう。

私自身、24年のパリ五輪では警告を何度か受けるうちにフォームがどんどん小さく硬くなり、「もういいや」と諦めの気持ちに襲われるという苦い経験をしました。