さらなる周知を目指して
下山 医療側からの発信もまだまだ足りていませんね。当院でも絵やマンガを使ってホームページを充実させるなど、わかりやすい情報提供を心がけていますが、忙しい病院では業務の合間をぬって発信に力を割くことが難しい場合も多い。
結果的に、がん患者に何か売ってお金を儲けようという、営利目的の情報のほうが患者さんに届きやすく、悩ましいところです。
東 たくさん広告を出しているところは目につきやすく、すがりたくなる気持ちもわかりますが、きちんとしたエビデンスのある治療を受けてほしいです。
下山 患者さんが先進的な治療を受けたいと希望しても、自分の病気を対象とした臨床試験や治験、がんゲノム医療(遺伝子解析に基づいて個別に治療法を選択する医療)がどこで行われているのかわからないというケースもあります。
駒込病院希少がんセンターでも、新薬開発などを目的とした臨床試験に参加していますが、患者数が少ないので情報が広く届きません。さまざまな取り組みについて、さらなる周知が必要だと感じます。
東 そうですね。じつは私が各地の希少がんセンターに開設されている「希少がんホットライン」という相談窓口を知ったのも、夫が亡くなってから。たくさんの患者会があることも後になって知りました。夫の闘病当時に知りたかったと思います。
下山 国立がん研究センター中央病院の産学協同プロジェクト「MASTER KEYプロジェクト」のように、患者と医師が一緒になって研究開発を進める取り組みもあります。まだまだ希少がんに対する医療体制は整っているとは言えませんが、少しずつ進み始めています。
東 夫を亡くした当初は、私個人の罪悪感から希少がんについて調べていましたが、今は少しでも自分たちと同じような思いをする人が減るといいと思っています。これからも、私たち夫婦の経験や、取材したことの発信を続けていきたいです。
●駒込病院 希少がんセンター
https://www.tmhp.jp/komagome/section/center/kisho_gan_center.html
●全国の希少がんホットライン
希少がんまたは希少がんの疑いのある患者さんやご家族・医療者が、希少がんに関して相談できる電話相談窓口
https://www.ncc.go.jp/jp/rcc/hotline/index.html
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