今 できるだけ笑顔で、ユーモアのある会話を心がけました。たとえばレストランで食事をしていて、母がおもむろに入れ歯を外して皿の上に置いたとき。
みっともないと注意するのではなく、「あら、珍しいデザート。あまり美味しそうじゃないわね」と言ってみる。すると母も笑いながら、「ごめんね」と言って入れ歯をつけ直すんです。
瀧 素晴らしい対応ですね。人間の脳には模倣する力があり、相手がしていることを真似していろんな能力を獲得します。ですから、今さんが笑顔とユーモアで接すると、お母さまも同じように応えるのです。会話したり笑ったりすることは、認知機能の向上にも有効なんですよ。
今 最近は2人で笑い合うことが増えました。母の介護をしていて感じるのは、根底に愛情があれば伝わるということ。親子だから喧嘩もしますが、大切な母だし、元気でいてくれることが嬉しい。大好きだよ、という思いを言葉や態度で示していたら、母はいま、どんどん元気になっています。(笑)
瀧 実は、子どもの脳の発達において土台となるのが愛着形成というもの。親が愛情を注ぐことで子どもとの間に生まれる心の絆です。これは大人にも当てはまり、お互いに愛情を持って接することは、脳の健康を保つうえでとても大切なのです。
今 母は2月で99歳になりますが、以前より頭がしっかりしています。明るさを取り戻し、理解力もある。食欲も旺盛です。要介護3なのですが、ケアマネさんが「要介護1に戻してもいいくらい」とおっしゃるほど。
瀧 素晴らしい! 今さんにとって、介護で無理をしなくなったことも、いい作用をもたらしていると思いますよ。脳にとってストレスは大敵ですから。
今 先生にそう言っていただけて安心しました。

