アバウトさを超えて、泣かされてしまう

さて物語は、スリランカからインドの海岸にたどり着いた密入国一家が、警官たちに見つかってしまうシーンからはじまる。この警官を演じるラメーシュ・ティラクがなんとも魅力的。心優しいこの警官は、愛犬を差し出す次男のムッリに心を動かされ、一家を解放してしまう。普通はこんなことはないのだが、そこは映画のいいところ。

家族は唯一頼れる兄の家に匿われ、「外に出るな、近所の人とかかわるな」と言われるのもガン無視で、思い切り関わっていく。事実暮らすのにお金は必要。主のダルマダース(シャシクマール)は、運転手を探している富裕な隣人のところに「試用期間」で就職(ふつうは無理)。次男のムッリはもぐりの学生として学校に通い(実際は無理)、妻のワサンティ(シムラン)は近所の老夫婦の家に、手作りの菓子を持っていき、縁を深めていく(だから危ないっていってるのに!!)。

その頃街では爆弾テロ事件が起き、犯人を捕まえようとする警察は、「この前の密入国一家が怪しい」と、一家が潜伏していると思われる地域を調べ始める…。

細かく言えば、「住民票もなくて、就職したり、学校に行ったり、できる訳ないじゃん !!」「健康保険は??病気になったらどうやって治療受けるの??」と言いたくなるが、そんなアバウトさを超えて彼らの行動は胸に迫り、最後は泣かされてしまう(マジで)。

ダルマダースの家族だけでなく、登場する人々がみな魅力的。使用されるタミル語があまりに早口で、名前も覚えにくく最初は戸惑うが、観終わるころには「もっとインドのことが知りたい」と思ってしまう。