魅力的な捨松像
歴史上有名な人物も登場する。りんと直美を看護の道へ導くのが、多部未華子さん演じる大山捨松だ。会津藩の家老の娘に生まれ、12歳の時に官費で留学。津田梅子らとともに渡米し、明治15年に帰国。その後、陸軍卿の大山巌と結婚。女子教育や看護教育の支援に力を注いだ。
「捨松は、りんと直美にとってメンターのような存在。この時代、アメリカで看護に触れたことのある人はすごく珍しい。捨松は、『津田梅子と一緒にアメリカに行った人』『鹿鳴館で踊っていた人』というイメージを持たれる方が多いと思いますが、調べるうちに日本にチャリティーや医療を根付かせた人だと分かって、とても魅力的に感じました」
多部さんは、ヒロインを務めた『つばさ』(2009年)以来、17年ぶりの連続テレビ小説出演。捨松の初登場は第1週「翼と刀」の第5回。那須を訪れた大山巌・捨松夫妻の馬車が、道を歩いているりんとぶつかってしまい…。華やかな洋装で、白く清潔なハンカチをりんに差し出す捨松の存在感は抜群だった。
「多部さんは華があって上品。きついセリフを言っても可愛く見える。捨松はアメリカ帰りで言葉がストレートなので、多部さんの品の良さもあって、すごく素敵に演じていただいています」
『風、薫る』で光を当てた人物がもう1人いる。上京したりんが働くことになった瑞穂屋の主、清水卯三郎(坂東彌十郎)だ。人生に悩むりんと直美を新しい世界に誘う役割を果たす。
卯三郎は実在の人物で、幕末から明治にかけて活躍した実業家。漢学や数学、化学などの学問を納め、オランダ語や英語も通じた。商売をはじめ、パリ万国博覧会に参加し、茶屋を出店。東京・日本橋で、欧米から持ち帰った品を扱う「瑞穂屋」を営んだ。
「卯三郎はあまり知られていませんが、商人だから大きな視野を持っていたし、政治とは違った目線で明治初期を見つめていた。とても面白い人です。文化や社会の側面から明治を捉えたいという思いもありました」
大山捨松や清水卯三郎に背中を押され、りんと直美はともに看護婦養成所で学び、日本社会に看護を根付かせていくことになる。
「書き始めて1年以上が経ちました。りんと直美が出会うと、化学変化を起こして関係もどんどん変わっていきます。これから楽しいバディになっていくので、毎日ご覧になっていただけたら嬉しいです」