小さなストレスに気づき、いらないものを整理して
緊急事態宣言が出てしばらくは緊張のせいでソワソワしていましたが、そのうち、これは自分のシンプルな感覚を取り戻すための時間なのかも、と捉えるようになりました。
たとえば、グラスの曇りが気になるなら、すぐに磨けばいい。そうしたら気持ちがスッキリします。また、着心地が良くてしょっちゅう着るお気に入りのTシャツがある一方で、「たまにはこちらも着なきゃ」と思って着ているTシャツもある。その、無理に「着なきゃ」と思うことが、実は小さなストレスになっていたと気づき、いらないものを整理することができました。なんとなく持っていたものが、本当に自分にとって必要なのか、改めて見直す機会となったのです。
そんなふうに自分に向き合う時間を持つことで、仕事に関しても、アップダウンを乗り越えて、ようやく次の段階に向けて準備しようという気持ちが芽生えてきました。想像していた以上に撮影中断期間が長かったため、一時は台本をしまい込んでいたんです。台本を見るとつらくなりそうな気がしたから。でも最近、「そろそろセリフ覚えよう!」という気持ちになり、チカさんという役について改めてじっくり考え始めました。
この作品はもともとアメリカのドラマで、オリジナル版を一人のファンとして憧れの眼差しで観ていました。その日本版に自分が出演することになって、どうすればオリジナル版とは違う魅力を作り出せるか、シーズン1の時から常に悩んでいましたし、今も、正直に言えば答えが出せていません。
ただ最近、「その日のベストを目指せばいいのかもしれない」と思うようになりました。私自身が試行錯誤を重ねることが、キャラクターの中にオリジナリティとして表れるのではないか、そんな気がするのです。
チカさんのキャラクターを表現するうえで、洋服の着こなしも重要。スタイリストさんと相談しながら、かなり攻めています(笑)。着る物によって普段の自分とは違うパワーが湧いてくる、火事場の馬鹿力が出る、みたいなことってある。日本だと、普通はオフィスには着ていかないのではないか、というようなデザインや色も大胆に取り入れていますから、そこもぜひ楽しんでいただきたいですね。
撮影が再開したら、現場で涙目になってしまうかもしれません(笑)。ぐっとこらえて、いつも通りに臨まなくては。