アニメとロックの壁を壊す
LiSAは、「アニソン文化」と「ロックバンドによる主題歌タイアップ」という二つの領域を繋ぎ、アニメとロックの新しい関係性を築き上げてきたアーティストでもある。
LiSAのルーツはロックにある。バンド活動に明け暮れていた10代の頃、彼女はアヴリル・ラヴィーンやグリーン・デイに憧れる、一人のパンク・ロック少女だった。
2011年にソロデビューした後も、制作チームは彼女のロック・マインドを尊重し続けた。数々のアニメ主題歌を歌いアニソンシンガーとしてブレイクを果たす一方で、UNISON SQUARE GARDENの田淵智也が作曲を手掛けた「Rising Hope」など、力強くエモーショナルな楽曲群でアニメファンだけでなくロックファンにも支持を広げていった。
象徴的だったのは2016年だ。「前前前世」がアニメとロックバンドの関係を塗り替えたこの年、LiSAもひとつの達成を形にした。「アニメロサマーライブ」でヘッドライナーをつとめる一方で「ロック・イン・ジャパン」や「サマーソニック」にも出演。アニソンフェスとロックフェスの両方で熱狂を生み出したことは、いわば、LiSAがひとつの“壁”を壊した象徴にもなった。
こうして振り返ってみると、「紅蓮華」が辿った軌跡は、単なるアニメソングのヒットという枠組みを大きく超えたものであることがわかる。アニソンフェスとロックフェスの垣根を越えてきたLiSAのキャリアと、配信プラットフォームの普及によってアニメ視聴の裾野が広がった時代状況が、『鬼滅の刃』という器のもとで結実したわけだ。
そしてこの成功は、2020年代のアニメ主題歌のあり方を決定づけた。「紅蓮華」は、アニソンがJ-POPの“周縁”から“中心”へと躍り出る地殻変動の震源地にあった曲だった。
