音楽家としてできることは全部やりたい
――最後にさださんの死生観について伺いたいと思います。
祖母が他界したのは9歳の時。人はいつか必ず死ぬんだということを知って大きな衝撃を受けました。そこからは自分もいつか死ぬのだ、命には限りがあるということが生きる前提になりましたので、今を大切にしながら、悔いのないように、音楽家としてできることは全部やりたいと思っています。
若い頃から自分がどう老いて、どう死んでいくのかに関心がありました。若いというのは未熟なことだと思っていたので、早くジジィになりたくて、ジジィとばかり酒を飲みに行っていたのですが、みんな生き方に説得力があってかっこよかったんですよ。自分がジジィになった今、若い人達をもっと引っ張れるような存在にならなくちゃいけないなと感じます。
ただ時代とともに音楽の世界はめまぐるしく変わってきたし、これからも変わり続けていくことでしょう。どんなに時代が変わってもいいものはいいのだけれど、音楽性について若い世代の人達と価値観を共有するのが難しいというところに来ている気がします。だから僕は僕のやり方で淡々と歩んでいくから、共感する人はついてきてというスタンスです。
自分は音楽人生という山の5合目くらいまで来ている感覚なのですが、死ぬまでに8合目までたどり着けるだろうか? という不安を抱えています。50年間にわたり、お客さんと足並みをそろえて山を登ってきましたが、この際、酸欠するお客さんがいたとしても一気に8合目まで行っちゃおうかな、そろそろ自分のやりたいことをやったほうがいいんじゃない? と思い始めていて……。実はまだ本当にやりたい音楽を心に秘めているのです。何をやりたいのかのヒントが今回のアルバムにいっぱい入っていますので、ぜひ、さだまさしの知られざる世界観に触れてください。
『お終活3 幸春!人生メモリーズ』
5 月29 日(金)新宿ピカデリー、イオンシネマ他全国ロードショー
出演:高畑淳子・剛力彩芽 松下由樹 水野勝・西村まさ彦
藤吉久美子 LiLiCo / 三田佳子 / 勝俣州和 彦摩呂 袴田吉彦
藤原紀香・石橋蓮司 小日向文世・橋爪功
作・監督:香月秀之 主題歌:さだまさし「神さまの言うとおり」(ビクターエンタテインメント)
