その出会いを機に、ことあるごとに島田先生の楽屋にご挨拶に行くようになり、先生も僕の舞台を観に来てくださるようになりました。

『白野弁十郎』の本家である『シラノ・ド・ベルジュラック』をミュージカルにした『シラノ・ザ・ミュージカル』を上演したときも来てくださってね。

そのとき僕は、カーテンコールでシラノの付け鼻を客席に投げてお客さんにあげていて――それは、来日公演でシラノを演じていたジャン=ポール・ベルモンドがやっていたことだったんだけど――、フランス語の台詞がまさに歌っているようで素敵でね、鼻を投げるのもいいなと思って真似したの。

すると島田先生も、「(島田正吾ふうのゆっくりした口調で)あれはいいな。僕のは一点ものであげられないけど」と残念そうに言ってね(笑)。先生にはそういうチャーミングなところがありました。

「山川静夫名人劇場」に山田五十鈴先生と出させてもらって、『一本刀土俵入り』の茂兵衛と『瞼の母』の忠太郎をやったときには、観に来てくださった島田先生が、「あれは二つとも僕がやっている役だ。今度は僕の会で君が相手役をやってくれ」とおっしゃって、僕、女方をやったんですよ。『ラ・カージュ・オ・フォール』や『M・バタフライ』をやっていて得意だからね。

それであるとき、先生が台詞に詰まったことがあったんだけど、「君の台詞がいいから聞き惚れちゃったんだよ」なんて言うの。もう「コノヤロー!」って感じだよね。(笑)