(写真はイメージ。写真提供:Photo AC)
1972年に「魔法の黄色い靴」でデビューし、「心の旅」「青春の影」「虹とスニーカーの頃」などのヒット曲を生み出したミュージシャン・財津和夫さん。財津さんが所属するバンド「チューリップ」は、2027年に55周年を迎えます。そこで今回は、財津さん初の自伝『大丈夫さ 私の履歴書』より一部を抜粋し、財津さんの言葉をお届けします。

後期高齢者

先日、後期高齢者の自動車運転免許更新のため認知機能検査という試験を受けた。受験者は30人ほどいただろうか。めいめいに机と椅子があり、答案用紙を受け取る。

こんな学生気分は久しぶりだ。教官の声がよく聞こえ理解できるように一番前に席をとった。新しい免許証を手にできるようにと緊張する自分に改めて“高齢”を思わされた。社会の内から外へかけられた橋の袂に立つ自分が実感できたようだった。

今日まで52年もステージで歌ってきた私の人生は特殊なはずだ。十年一日の如しどころではない、半世紀一日の如しである。

私がずっと見てきたものは楽器、マイク、舞台、楽屋、乗り物、ホテル、そして収録スタジオだけである。これらが私の仕事に関わる全てと言ってよい。