食卓に載せるか、載せないか、それが問題だ

「そっかあ。おまえはTVが見たいんだね」

旦那はそう言うと、その子をリビングの食卓の上に載せました。まあその、TVがとても見やすい位置に、ですね。

そしたらまあ、その後……食事中(っていうか、その番組をやっている間中ずっと)、この子、しゃべりっぱなし。特定の俳優さんの台詞に、全部反応してしまう。肯定したり、相槌うったり、意見を述べたり。しかもその反応が……妙に当意即妙というか、聞いている旦那と私が笑っちゃうようなものだったので……。

これ、妙に楽しかったな。

……ただ。全然楽しくないことも、ありました。

というのは……視線が、痛い。

「この子がTV好きなのはよく判ったんだけれど……」

旦那がこう言った時、私はもっとずっと実感していました。

「TV好きなの、この子だけじゃない……よね」

私の背中に。ちくちくと刺さる視線が、ある。それも一つや二つじゃなくて……もっとずっと一杯。山のように。

「……どうもうちには、TVがやたらと好きで、TVと一緒にしゃべりたいことがある子……すっごく、いそう……だ、な」

それは判るんです。よく判るんです。背中がぬいさんの視線で痛いです。でも。

「食事の時……食卓の上にぬいさんを載せるのは……あまりお勧めできない……」

んですよ。だって、ぬいぐるみにとって、家庭内で一番危険なのは、多分食卓です。ぬいさんを食卓に載せていて、食事中、万一お味噌汁のお碗を倒してしまったら。焼き肉とか、お好み焼きとか、食卓の上にホットプレート載せて調理しながら食べている食事の場合、油が飛んだら。

ぬいぐるみの汚れで最悪に近いのは、食べ物によるものなんです。油は落ちにくいし、液体なんか染みこんじゃうし、余程気をつけて汚れを落とさないと、最悪将来黴が生えてきてしまうかも知れないし。

……でも。視線があんまり痛かったので、この時以来、食卓の隅っこにかわりばんこにぬいさんに来てもらうことにしました。(なんか……カピバラ一族の視線がやたら刺さったので、主にカピバラをかわりばんこに。このせいで、最初に叫んだカピが誰だか、よく判らなくなっちゃったんですね。いやあ、うちのカピは、どの子もどの子もかなりTVが好きで、ほんとにしゃべるわしゃべるわ、カピと一緒にTV見てたら、煩くてしょうがない。)そして、この後旦那は定年になり、かなり家にいるようになり……うちのTVはほぼつけっぱなし状態になったのですが……その前に、うちの食卓には大きな変化がありました。