見上愛さん、上坂樹里さん主演で放送中の連続テレビ小説『風、薫る』(総合、毎週月曜~土曜午前8時ほか)。田中ひかるさんの『明治のナイチンゲール 大関和物語』(中央公論新社刊)を原案に、看護師という職業の確立に貢献した大関和と鈴木雅をモチーフにしたバディドラマだ。明治を舞台に、看護の黎明期を描いている。物語に説得力を持たせるのがドラマ美術。華やかな鹿鳴館、明治初期の医療の現場などを表現するにはどんな苦労があったのか。美術担当チームに聞いた。(取材・文:婦人公論.jp編集部 油原聡子)
深刻なシーンでも明るく
武士の時代が終わり、和装から洋装へ人々の服装が少しずつ変わっていく。明治15年、りんと直美が17歳の時から物語が始まった。主な舞台は急速に近代化が進む東京だ。文明開化が進む『風、薫る』の世界の映像化にあたって、監督から美術チームへの最初の指示は、「看護の世界を描く以上、つらい場面も避けられない。暗くなりがちな中にも希望を感じられる明るさを取り入れてほしい」というものだった。
(『風、薫る』/(c)NHK)
この指示を受けた上で、美術チームが大切にしたのが、ナイチンゲールの環境理論だ。りんや直美はスコットランドからやってきた教師・バーンズからナイチンゲールの看護学を学び、トレインド・ナースとして日本に看護を根付かせていくことになる。第6週では、換気やシーツ交換などの清潔な環境を保つことの重要さをバーンズから学ぶ様子が丁寧に描かれた。
チーフデザイナーの川名隆さんは「スタジオセットでも、光や風、水の環境を整えるナイチンゲールの看護精神を重視しました」と明かす。劇中には様々なセットが登場するが、窓が多いのが特徴のひとつ。「窓があることで、風通しの良さを感じることができます。暗いシーンでも窓から光がさすことで明るさを表現できるので、窓を多く設けることは意識しました」と説明する。
りんと直美が働く帝都医大付属病院の病室も窓が多くあり、明るく清潔な雰囲気だ。第38回では、上等個室に入院してきた侯爵夫人の千佳子(仲間由紀恵)が、室内で1人たたずむ場面では暗い室内に窓からの光が差し込み、印象的な場面となった。