市内では映画撮影中

なお、停電が起こったとき、ニューヨーク市内では翌年公開の映画『スーパーマン』第1作の撮影が行なわれていた。スタッフの一人は、撮影用に街灯からこっそり電気を失敬しようとした。その矢先に、大停電。

――え、もしかしてオレのせい? 原因がわかるまでの数か月間、彼は自分が惨事を引き起こしたと思い込んでいた。

ちなみにこの人は、ジェフリー・アンスワースという。『2001年宇宙の旅』や『キャバレー』などの映画で知られ、アカデミー撮影賞を二度受賞した、腕利きの撮影監督だ。

映画といえば、かの有名な『メン・イン・ブラック』でも、この停電への言及がなされている。それによると、原因は「エイリアンのいたずら」。真夏の暗闇は、SFに取り入れられるほどニューヨーカーの心に強く印象づけられたようだ。

ところで、大停電を引き起こしたコンソリデーテッド・エジソン社は、現在も営業を続けている。当時と変わらずニューヨークに電気を届け、ガスや蒸気の事業も行なっている。

ただし、例の停電のあとには、複数の対策を講じた。少し例を挙げると、緊急時の詳細手順の決定、雷雨に耐えやすいシステム、スタッフの増強など。

その中にしれっと紛れ込んでいるのが、運用者の適性に関する試験だ。

あのベテラン社員の行動は、やっぱりダメだったらしい。

※本稿は、『世界を変えた「凡ミス」図鑑:昔の人たち、やらかしすぎ!』(三笠書房)の一部を再編集したものです。

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