記憶を引っかける「フック」がなくなってしまう

「もし自分が認知症になったら」と考えてみてください。

当たり前だと思っていたことを、突然、変えられてしまったら。

『認知症になって幸せな人、不幸せな人』(著:繁田雅弘/PHP研究所)

突然、知らない国の、知らない言語の、知らない街に放り込まれたような状態になったら。

やはり、記憶は危なくなるのではないでしょうか。

もともと危ないのに、記憶を引っかける「フック」がなくなってしまうわけです。生活は、無意識でやっていることがほとんどですから。

遠くで一人暮らしをしている父母を呼び寄せるというのは、ものすごくリスクを伴うことです。それを承諾した父母は、崖から飛び降りる想いであったということも理解してほしい。すべてを失う覚悟で来ています。

それだけの犠牲を払ってでも、来てもらうのに見合うことをしてあげられるでしょうか。それができないのであれば、親の住み慣れたまちで、その地域のサービスを使って生きていったほうがよいかもしれません。