「人生の後半に差しかかるにあたって夫婦はどう向かい合えばいいのか」──武田さんに、老後の夫婦の在り方についてお聞きしました。
人生後半の夫婦関係
おかげさまで今年4月に77歳の喜寿を迎えました。
さて、老後を迎えるにあたって夫婦関係というのは難しい問題を抱えることになります。近頃は“熟年離婚”が盛んに話題になりますが、年をとって夫婦関係がぎくしゃくしてくることは往々にしてあります。
私思うんですよね、その原因は絶対に男のほうにあると。
たとえば“男が男たる理由”みたいなものを女房に向かって主張し始めると、だいたい上手くいかない。定年を迎えて家にいるようになった男どもは、まず自分が「家庭人として新人である」という純然たる事実を受け入れないといけません。そうしないと女房に対して「何だこの野郎!偉そうに言いやがって」となって必ず喧嘩になります。
私にも身に覚えがあります。奥さんには申し訳ないけど、奥さんから家庭内の細かいルールを言われるとね、イライラするんですよ、腹が立って。
コロナ禍でステイホームを余儀なくされた時期がありましたよね。日中、一緒にいる時間が長くなった奥さんから激しく抗議があったのは“ワジミ”。
「ちゃんと拭いてよ!ワジミができるでしょ」
その言葉の意味がわからなくてさ。てっきり相撲の“輪島”かと思ったら違うんですよ。
私コーヒーが好きでよく飲むんですけど、コップの裏をきちんと拭いてないとテーブルに置いたときに輪のシミがあちこちにつくでしょ。これが“輪染み”なんだって。
そんなこと言われたってさ、“輪染み”なんて専門用語知らないもの。
「そんな言い方しなくてもいいじゃないか!」
この“ワジミ”がきっかけで激しい言い争いになったのが、私と奥さんとの最初の抗争でした。
この話を男同士で集まったときにしてみたら、これが素晴らしいことに全員同じ。
「お宅もですか」って。
主婦業のベテランがいる家庭に、定年を迎えて仕事を離れた男が居座るようになると、こうした問題が必ず起こります。主婦の皆さんはご経験がおありでしょうが、そうなると奥さんがもの凄い勢いで旦那さんにイラ立つことになるんですよね。