裏切りは笑い話
それでも南青山のマンションには長く住んだのよ。買った当時は5000万か6000万ぐらいだったかな。いざ売却するときには見事に“中抜き”されたの。不動産って怖いわよ。信じて任せてるすきに、しれっと裏で何かやられてしまった。
「ああ、また裏切られたぁ」とうなだれたけれど、ここまで生きてて、「裏切り」はもはや“年中行事”みたいなもの。驚かない自分がまた悲しいんだけど、もう慣れちゃったのよ。
私がもうちょっと頭が良ければ、この時期に坪いくらで買っといてこれくらいで売って……とかできたかもしれないけど、そもそもそういうことに向いてないのよね。せこいことが好きじゃないから、転売とかはよくないんじゃないかと思っちゃう。安く買って高く売ってというのも、ずる賢いような気がしちゃうしね。
そう考えると、裏切られ続けるというより「笑っちゃうような驚きの連続」って感じかもしれないね。昔からずっとそう。それくらいに思っとくほうがいいんじゃないの?
そうじゃなけりゃこんなに騙されて生きてないのよ(笑)。
※本稿は、『ピン!として逝くのもいいじゃない ピン子78歳、最後に残したい言葉』(徳間書店)の一部を再編集したものです。
『ピン!として逝くのもいいじゃない ピン子78歳、最後に残したい言葉』(著:泉ピン子/徳間書店)
「本当に自分の人生をまとめて残すのは、これが最後。全部言うわよ」
78歳・泉ピン子の、笑って泣ける自伝エッセイ集。




