「これから年金で暮らしていける?」「もし認知症になったら…」など、老後の生活を考えるとさまざまな不安がよぎるという方も多いのではないでしょうか。しかし「見えない未来を心配しすぎず、見えている今日を楽しく気楽に過ごすほうがいい。もっと気楽にいきましょう」と提案するのは、精神科医・保坂隆先生です。そこで今回は、保坂先生の著書『老後は「いいかげん」がちょうどいい』より一部を抜粋し、老後の人生を「いいかげん」に過ごすヒントをご紹介します。
仏教が教えている「物との決別」
人は裸一貫で生まれてくるといいます。重さの単位の「一貫」はおよそ3750グラムで、まさに新生児の体重。何も身につけず、何も持たず、この世に生まれてくるというわけです。
ところが、成長とともに人には欲が出てきます。
幼い子にも「あれが欲しい、これが欲しい」という気持ちはあり、ねだるのは珍しくありません。大人になって働き出せば、自分の自由になるお金で、欲しい物を手に入れられます。しかし、必要な物ならともかく、欲しかったから買うということを続ければ、身のまわりには物が増え続け、しかも捨てられないとなれば、物があふれるでしょう。
「自分のお金だから、欲しい物を買っても問題ないでしょう」という人もいそうです。
しかし、年金だけの生活であれば、買い物は本当に必要なものだけにしておかないと行き詰まる可能性もあります。
歳を重ねれば、健康不安も顔をのぞかせてきます。医療費の準備も怠るわけにはいかないでしょう。