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日常の中で「間違った判断はしていないはず」と、何かの決定に対して「思い込み」をしたことのある方もいらっしゃるのではないでしょうか。「人は誰しも思考のクセがあり、過去の体験や直感に従って間違った判断をしてしまいがちなのだ」と語るのは、経済学者の大竹文雄さんです。そこで今回は大竹さんの著書『思い込みの経済学-AI時代のお金・仕事・社会』より一部を抜粋し、不確実な時代を生き抜く考え方のコツをお届けします。

金を買って利益を得るには

金(ゴールド)を買って大きな利益を得るシナリオは、実は一つしかない。それは、市場がすでに想定している「悪い未来」よりも、さらに悪い事態が起こることである。

つまり、今金(ゴールド)を買うという行為は、「世界は、みんなが思っている以上に悲惨な方向へ進む」という悲観的シナリオに賭けることを意味する。それは資産形成というより、世界情勢への投機に近い。

これを象徴的に示すのが、2026年2月28日の米・イスラエルによる対イラン攻撃開始時の金価格の動きだ。もし、これが事前に予想されていなかったら、有事の金(ゴールド)で金(ゴールド)価格は急上昇したはずだ。

しかし、攻撃開始直後の金(ゴールド)価格の反応は「急騰」ではなかった。一時2%超上昇したものの終値ベースでは0.4%の上昇しかなく、その後すぐ反落したのだ。攻撃開始で金(ゴールド)価格が急上昇しなかったのは、イラン攻撃がかなり織り込み済みだったことを示している。

しかも、その後はイラン情勢による原油価格の上昇予想からのインフレ予想、そして金利水準の維持というマクロ経済的影響のほうが重視され、金(ゴールド)価格は下落したのだ。