セットで購入できるのと同じ
ここでのポイントは、「ランダムにすること自体」で儲かるのではなく、好みが分散した商品をセットとして買ってもらうこと(バンドリング)で儲かるということである。
これは、情報財のバンドリング理論と同じ原理だ(Bakos and Brynjolfsson, 1999)。ガチャガチャのランダム性とは、そのセット購入を少額の反復に分解する装置なのである。要するに、少額の「分割払い」でセット購入させる仕組みということだ。
つまり、1回300円のガチャガチャを2回やれば、セットで購入できるのと同じだ。これは、人の好みがさまざまな場合に、セット販売をすることで、消費者も平均的には損をせずに企業が儲けられる仕組みなのである。
今は単純化のために2種類にしたが、ピカチュウ、イーブイ、ヒトカゲなど種類を多くしても同じことが成り立つ。
要するに、全体として払ってもいい金額は人によって大きくは異ならないけれど、それぞれカプセルの中身の好みが違う場合は、ガチャガチャを何回もするのが合理的であるし、企業も儲かるということだ。
実は、この構造はアイドルグループ推しにも当てはまる。推しメンバーは人それぞれ違うが、CDやライブはグループとして販売される。好みの多様性を活かしたセット販売という点で、ガチャガチャと同じ経済学が働いているのだ。
※本稿は、『思い込みの経済学-AI時代のお金・仕事・社会』(中央公論新社)の一部を再編集したものです。
『思い込みの経済学-AI時代のお金・仕事・社会』(著:大竹文雄/中央公論新社)
本書はお金、仕事、社会のルールなどとの向き合い方を、経済学の観点から考える。
AIは人間の仕事や判断を代替するのか、それとも補完するのか。
不確実な時代を生き抜く考え方のコツを探る。





