外科医の人生は一生学び

これだけの手術を経験するためには、自然と初期研修後に15年は必要になる。ここまで経験を積めば一人前という感じだろう。年齢的にはゆうに40歳を超えているはずだ。こういう医師の手術にはインセンティブを付与していいかもしれない。

ぼくが指導医の認定を受けたのは、医者になって16年目。41歳だった。指導医になれたときは本当にうれしかった。外科医として金看板を身につけたと思ったし、自分は、子どもの腹の中ならどんな病気でも手術で治せると思ったものだ。

小児外科医に比べると、成人の消化器外科医の指導医はハードルが低い。消化器外科医の専門医を取得後4年以上経過して、1回以上の専門医更新歴があれば指導医の申請が出せる。小児外科のような手術要件はなく、キャリアを積めば、指導医になることが可能だ。

医者というのは、55歳くらいを過ぎると管理職的な仕事が増えていく。45歳で指導医になるとすると、45歳から55歳の10年間がバリバリに腕を振るっている黄金時代という感じだ。無我夢中で手術をする若手時代も楽しいと思うけど、金看板を背負った円熟期に入ったベテラン時代も楽しい。外科医の人生は一生学びである。

※本稿は、『大学病院の正体-手術、人事、教育、研究のすべて』(中央公論新社)の一部を再編集したものです。

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