見張りに専念していなかった
事故当時おこなっていたのはつき固めという作業で、バラスト(線路のまくら木の下に敷く砂利)の間の隙間を密にする作業で、こうすることでまくら木やレールが安定する。このような保線作業をおこなう場合、作業をおこなう人とは別に列車見張員を配置することになっている。そして、列車見張員は、列車の見張りに専念しなければならない。しかし、この事故が発生したときはそうはなっていなかった。見張員もレールのバラストの補充やまくら木をバールで上げるなどの補助作業をおこなっていた。
見張員は、作業しているところよりも離れた位置にいないといけない。その距離を10mと定めてあったが、事故当時は補助作業をおこなっていたため、1〜2mであった。
事故の直前、バールを離れたところに置いてきたため、それをとりに行き、戻る途中レールを確認しながら歩いていた。そのとき、目前に列車が迫った。「電車!」と叫んで避難した。作業に集中していたため時計も見ていなかった。
さらに、列車の見張りは、列車が接近してくるのがわかる見通しのよいところでないと意味がない。見通しの距離を要領では500mと定めてあった。ただし、カーブなどの見通しが悪い場所で500mを確保するのは難しいこともあるだろう。その場合は、中継見張員を配置することになっている。この事故の現場の見通し距離は100〜200mであったそうで、中継見張員が必要であったが、それも配置していなかった。
