列車の運転士への周知も不十分

保線作業中は、作業をおこなっていることが運転士にわかるように作業表示標を建てておく必要がある。作業箇所の前後200mで運転士が見える位置に置くことになっていたが、表示標そのものを設置していなかった。

さらに、運転士には乗務前の点呼時に保線作業がおこなわれていることとその場所を知らせることになっていたが、それらも周知されていなかった。

(写真提供:Photo AC)

この事故のヒューマンエラーは、事前の安全行動を省略してしまう安全行動省略エラーである。安全のためにおこなうべきルールがさまざま定められていたが、ことごとく守られていなかった。

安全のために、二重にも三重にも安全策が定められているのは、どこかの安全策が不十分でも、いくつもの安全策があればどこかでひっかかって事故を防げるからである。この事例は防げるはずの事故であった。