和央さんのインスタグラムと宝塚歌劇団HPにアップされている「One Heart PROJECT」の動画より。上段左から、花組トップスター柚香光さん、月組トップスター珠城りょうさん、雪組トップスター望海風斗さん、星組トップスター礼真琴さん、宙組トップスター真風涼帆さん。下段左から和央さん、フランク・ワイルドホーンさん(和央さんインスタグラムより)

「ひとつの心に結ばれ明日を目指し歩く」

宝塚の現役トップスター5人とともに、フランクの作曲した「One Heart」を、フランクのピアノ伴奏で歌う動画「One Heart PROJECT」は、まさしくコロナによる変化があったからこそ実現できた企画だと思います。

現役のトップスター全員と、OGの元トップが一緒に何かをするなんて、それまでないことでした。宝塚のトップは、とにかくめちゃくちゃ忙しい。普段、ほかの組のトップと話す時間などなく、舞台上でも特別なイベント以外、みんなで一緒に歌う機会もありません。

ところが今回、宝塚は休演、NYはロックダウンを余儀なくされて、それぞれが大変な日常の中に閉じ込められてしまった。だったら、そのなかでできることはないか。念頭にあったのは、医療の最前線で力を尽くしておられる方々への感謝です。同時に、このご時世にがんばって生きているすべての方への応援と、平和への心からの祈りを込めたかったのです。

「One Heart」は、私の退団公演『NEVER SAY GOODBYE』(2006年)の劇中歌。

「ひとつの心に固く結ばれ、明日を目指し歩いて行く」という歌詞が、折れそうな心を奮い立たせてくれる歌です。

私は退団公演の前に、舞台上で骨盤骨折の大怪我を負い、完治しないまま公演を務めることになりました。ファンや組子、スタッフの方々に支えられたことはもちろんですが、あの時もこの歌があったからこそ、やり抜くことができたと今でも思っています。

花組の柚香光さん、月組の珠城りょうさん、雪組の望海風斗さん、星組の礼真琴さん、宙組の真風涼帆さんと、それぞれ学年が違うみんなが、海を越えてNYにいる私とつながった。望海さんはトップ就任の大劇場お披露目公演が、フランクが全曲を書き下ろした『ひかりふる路』、真風さんは『NEVER SAY GOODBYE』が初舞台というご縁もありました。

そんな貴重な機会だからこそ、ライブ感を重視しました。みんなで「青」を着ようと打ち合わせもして。ほぼ初顔合わせの方ばかりでしたが、すぐに話がまとまりましたね。リモートでも、即座に一体感が出るところは、さすが宝塚。