草笛光子さん直筆の言葉
「わがまま一ぱいに生きて行こう」

 

次の舞台に向けてエクササイズを再開

気がついたら、もうすぐ87歳。映画デビューしたのは1953年ですが、その前の松竹歌劇団(SKD)時代も含めると、70年もこの世界にいることになります。

女優としてのキャリアを積んだわりには、私はあまり役を作り込みません。現場で、監督が私にこうしてほしいと考えていることを汲み取り、確認しながら演じるようにしています。そのかわり、もしまずかったら、「監督、あなたのせいよ」。私って、人が悪いわね。(笑)

2021年公開予定の映画『老後の資金がありません!』では、天海祐希さん演じる主人公の姑役を演じています。本来今年の秋に公開されるはずでしたが、新型コロナウイルスの影響で来年に延期になり、ちょっと寂しいです。コロナ、憎らしいわね。あのヤロウ、出てきたらタダじゃおかないわよ。(笑)

映画の原作本『老後の資金がありません』(垣谷美雨・著)中公文庫

自粛期間中は、この先取り組みたい企画の下準備のために資料を読んだり、内容を考えたりで時間が足りないくらい。寝るのは毎晩、夜中の2時か3時でした。もともと夜更かしで、夜一人でいるのが好き。実は私、夜の女なんです。

ただ、筋トレのために毎週来ていただいているパーソナルトレーナーも自粛で来られなくなったので、身体が少々なまってしまって。以前できていた動きがちょっと難しくなってしまったから、次の舞台に向けて少しずつ筋力を戻すためにエクササイズを再開しました。

実は今年、東京オリンピックで聖火ランナーを務めることが決まり、すごく喜んでいたのです。来年開催される場合、走れないと大変。ですから、自分に発破をかけています。トレーナーに、「私が聖火を持って走って、次の人に渡したとたん倒れたらどうする?」と聞いたら、「そのままお棺に入れます」ですって。「うるさくてしょうがないから、出てこないように釘を打つ」って。口が悪いんですから。(笑)

健康の秘訣は、よく食べること。朝ご飯を食べながら、「今夜は何を食べよう」と考えるくらい、食べることが好きです。たまには、朝からステーキをいただくこともありますよ。それに、不満や不服をためないことかしら。年齢を重ねてから、気取ったり自分を締めつけたりすることもなくなりました。多分「たが」が外れてしまったのでしょう。私がいなくなった後、「少々わがままだったけど面白い女優だったね」と言われたいです。

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