撮影:本社写真部
2019年2月、テレビのバラエティ番組で“細木数子の娘”が華々しくデビューした。細木かおりさんは、18年から後継者として本格的に、六星占術の鑑定や講演会をおこなっている。母の占いに懐疑的だった時期もあるという彼女は、なぜ後継者になることを決意したのだろうか──?

母からは、「細木数子になる必要はないんだよ」と言われました ー細木かおりさん

「あなた以外に任せる気はないから」と言われて

母・細木数子は先日、81歳の誕生日を迎えました。以前より「80歳になったら表立った活動から身を引いて、のんびり静かに過ごしたい」と口にしていたのですが、その言葉どおり、現在は実質的に引退している状態です。彼女が広めてきた「六星占術」は、3年前に養子縁組を経て娘となった姪の私が引き継いでいます。

彼女がいま暮らしているのは都内の自宅。私の家族と共に、好きな時間に寝て好きな時間に起き、時に原稿を執筆するという、悠々自適の生活を送っています。今年の2月に私が初めて出演したバラエティ番組を観て、「面白かったよ」と満足そうでした。

細木の妹の娘にあたる私が、六星占術の継承を最初に打診されたのは10年前のことです。「養子になって私の後を継いでほしい。私が六星占術をどれだけ大切にして、みんなを幸せにしたいと思っているかを、かおりはよく理解してくれているでしょう。あなた以外に任せる気はないから」と言われたものの、どうしても色よい返事ができずにいました。小さい頃から占いの話を聞かされて、基礎的なことは知っていましたし、細木が姪や甥の中で私を一番かわいがっていたからこその発言ともわかってはいたのですが……。

「養子になる」とか、「身の回りの世話をする」とかだけならいいのです。けれども細木がやってきた鑑定などをすべて受け継ぐとなると、専業主婦の私には荷が勝ちすぎます。何より、バッシングされたり、週刊誌にあれこれ書かれたりした彼女の苦労を間近で見ていた身として、自分があの苛烈なポジションに立つことなど到底受け入れられませんでした。

そんな気持ちに変化が起きたのは6年前です。きっかけは、細木に「継がなくてもいいから、マネージャーとして仕事を手伝ってくれない?」と乞われたことでした。事務的な作業を手伝い、1年が過ぎた頃、次は「これからは鑑定にも立ち会ってちょうだい」と。お客様を占う場に同席するようになったのですが、それまで細木は、鑑定の部屋に第三者を入れたことは一度もなかったんですね。その神聖な空間に私を入れるということは本気なんだなと、その時初めて彼女の思いを理解したのです。

鑑定前は暗い顔で入ってきた人が、細木のアドバイスを受けて帰る時には晴れ晴れとした表情になっている。なかには親子三代で通ってくださる常連さんもいます。お客様にここまで信頼されているさまを目の当たりにして素直にすごいと思いましたし、そんな光景を見ているうちに、「細木数子が人生をかけて積み上げてきたものを、私が断ったら途絶えさせてしまう。私の一存で終わらせるのは間違いなのでは?」という思いが募ってきて……。悩んだあげく、彼女の希望を受け入れることを決め、2016年8月18日、私は正式に「細木数子の娘」になったのです。