バラードを哀しげに歌うことが好きじゃない

僕がEXILEに加入して今年で13年。その間、メンバーが増えるなどグループの形は変わりましたが、中身はあまり変わっていない。EXILE卒業後、それぞれの分野で活躍なさっているMAKIDAIさん、MATSUさん、ÜSAさんとは、今もコミュニケーションを取っています。

変わったのは、後輩が増えたこと。とはいえ、みんな礼儀正しい子たちなので、僕が教えることは特にないです(笑)。後輩グループのヴォーカルの子と飲みに行ったり、僕の家に呼んだり。後輩というより、同志として一緒に頑張ろうね、というイメージが近いかもしれないですね。

僕はこれまで、ドラマや舞台を何作か経験してきましたが、今回の『僕に、会いたかった』の撮影では、「映画っていいなあ」とあらためて感じました。と同時に今回、長編で初めて単独での主役をやらせていただいたことで、自分もしっかり脇を固められる役者を目指したいとも思うように。存在感を示せる、実力派俳優の1人になれるよう頑張りたいと思います。

憧れている役者さんは、海外の方だと『ドライヴ』『ラ・ラ・ランド』などに出演していたライアン・ゴズリング。彼はあらゆる意味で突き抜けているから。日本では阿部寛さんが好きです。まだ共演させていただいたことはないのですが、シリアスな演技もコミカルな演技も自在にできて、役者として常にフラット。素敵だなあと思いながらいつも観ています。

今回の映画では、引き算の演技を意識しましたが、これって、どんな作品にも活かせると思うんです。そもそも現実の世界に生きている人は、みんながみんな、わかりやすく喜怒哀楽を表すわけではありませんよね? 落ち込んでいる時に笑ってみせたり、強がる姿に哀しさが透けて見えたりすることが多い。そのあたりを、リアリティを意識して演じていきたいですね。

同じ理由で、僕はバラードを哀しげに歌うことがあまり好きじゃないんです。哀しさは、聴く人が感じてくれればいい。そう考えると引き算の表現は、アーティストとしての活動にも活かせるなと思いました。

僕はこの映画のようなヒューマンドラマにずっと憧れていました。これからはこのようなジャンルの作品にも、積極的に挑んでいけたらいいなと思っています。