「フォロワー数を伸ばせたのは、『フォロワー数を確保したい』という意識が希薄だったからかもしれません。常に『自分が見る側の立場なら、どうすればフォローしたくなるだろう?』と考え、そのための勉強を重ねただけ。」(撮影:本社写真部)
芸能人でもモデルでもなく、インスタグラマーとして約245万人のフォロワーをもつDさん。インスタには、海外のトップブランドのデザイナーとのツーショットも掲載されている。何の後ろ盾もなく、すべて自分で考え、試行錯誤してきたという彼は、いじめの経験者でもあった。つらい時期を乗り越えられた理由やこれまでの道のりを振り返る(構成=武香織 撮影=本社写真部)

小・中・高といじめを受けて

約6年前、福岡県の服飾専門学校在学中にインスタグラムを始めました。内容は、ファッションに関するものです。おかげかげさまで2020年にはフォロワー数が約245万人に達し、国内男性トップ10入りしたことでインスタグラマー「D」としてたくさんの方々に周知していただき、本を出すこともできました。

有名芸能人でもないのにフォロワー数を伸ばせたのは、「フォロワー数を確保したい」という意識が希薄だったからかもしれません。常に「自分が見る側の立場なら、どうすればフォローしたくなるだろう?」と考え、そのための勉強を重ねただけ。もちろん、「すごい反響だね」と褒められるのも、新しい出会いがあるのも素直に嬉しいけれど、それも全部フォロワーさんあってこそ。そんな僕が今の活動をするようになった経緯をお話ししたいと思います。

僕が生まれ育ったのは、佐賀県です。でも、地元のことは、ついこの間までどうしても好きになれずにいました。いじめられた記憶しか蘇ってこなかったからです。最初のいじめは、小学生のとき。幼稚園から所属していたサッカークラブの、同じ小学校に通う先輩から、でした。万引きなど、いたずらとは言えないことを命令されたんです。

僕の両親は、口うるさくはないものの悪さをすればしっかり叱ってくれる人たち。一度、ゲームセンターで遊ぶお金を母親の財布から持ち出したことがあるのですが、すぐにバレて、「これは犯罪なのよ!」と、とことん説教され、非常にこたえた経験があります。だから犯罪に手を出すのはごめんだし、何より誰かに迷惑をかける行為は絶対にしたくなかった。

しかも、もともと妥協して周囲に同調するのが苦手な性格。先輩の命令は、頑として拒否しました。すると、いじめはどんどんエスカレート。長時間のランニングの強要や、洋服で隠れた部分を徹底的に殴る、蹴る……。練習中の乱暴なプレーで、何度も怪我をしたことがあります。

そんなわけで、4年生になるとサッカーへの興味がすっかり消え失せてしまったのです。仲のいい級友と休み時間にやるサッカーは楽しかったけど、いじめる先輩たちとのプレーは苦痛でしかなくなり、卒業と同時に、サッカーとはきっぱり縁を切りました。