小さな窓の隙間から入り込むらしい

ヘンなオレンジ色! と私は心の中で笑った。オレンジ色の球の周囲はさらに黄緑色になっている。私が観察している間も、それはとにかくしゃべり続けている。ゆっくりと説得しているようだ。私に見られているのに……。

そうしているうちに、なんと私はバケモノと目が合ってしまった。「あっ!」と思ったが、不思議と恐怖心はない。バケモノも私に見つかっておきながら、ひるむ様子もなく、私を見つめている。

沖縄には、マジムン(妖怪)やキジムナー(木の精)という不思議な生き物がいると言われる。夜中に出てきて、人々を押さえつけ金縛りに遭わせる話は、昔からよく聞かされていた。そう言えば、キジムナーは小さな窓の隙間から入り込むらしい。ふと足元の窓を見ると、15センチほど開いていた。閉め忘れなどしていないはずなのに。バケモノが開けて入ってきたのだろうか。

とにかくこの状況はまずい。私は窓ににじり寄り、ピシャリ! と音を立てて閉めた。

私の行動はとっさのもの。しかし、彼のほうを振り向くと、あのバッタのバケモノは跡形もなく消え去っていた。彼は相変わらず、大口を開けて気持ちよく眠り続けている……。