アニメや漫画が原作の「2.5次元舞台」を中心に活躍する前山剛久さん。コロナ禍で演劇への思いが募ったといいます──(撮影:小林ばく)
表現の垣根を越えて
小学生の頃は、引っ込み思案な性格でした。友だちが家に遊びに来ても、居留守を使うほど(笑)。当時、友だちの家族とカラオケに行く機会があり、安室奈美恵さんの「CAN YOU CELEBRATE?」を歌ったことがあったんです。そしたら、すごく褒められて。それが初めて人前で表現する楽しさを知った瞬間です。
今年は、観客の前で演じることの幸せを実感する一年でした。と同時に、観客がいてこそ成り立つ演劇を続ける難しさにも直面。でも、ネットでの生配信や劇場で安全に上演する可能性を探すため、2.5次元やミュージカル、ストレートプレイの表現者が垣根を越えて一致団結した。僕は、それが嬉しくもあったんです。これを機に、劇場で観るお芝居の魅力ももっと深めていけたらいいなと思います。
そんななか、『No.9-不滅の旋律-』に出演できるのは光栄です。ベートーヴェンの劇的な人生を、稲垣吾郎さんが演じます。なぜ曲を書くのか葛藤し、公演がうまくいかず悩み――。ベートーヴェンの背中を見ていると、表現に対する向き合い方はいつの時代も同じなのだと考えさせられます。名曲「歓喜の歌」の大合唱を、ぜひ劇場でご堪能ください。
※『No.9-不滅の旋律-』の公演は終了しました