50代になった私が、毎日東大に通うとは
博士課程に在籍してもうすぐ5年。今は東京大学の研究室と共同で、俗に若返り遺伝子と言われるサーチュイン遺伝子の研究をしています。どんな食品がサーチュイン遺伝子を活性化するのか。そのスイッチをオンにする食品を探すため、仕事の合間に、ほぼ毎日、東大のラボに通って、20代の学生たちと一緒に、細胞培養の実験を行っています。
50代になった私が、毎日東大に通うことになるなんて! 自分でも本当に驚きですが、「これをやってみたい!」と思う心のままに新たな一歩を踏み出してきたからこそ、人とのつながりが生まれ、思いもよらなかったところまで自分の世界が広がったのだと思います。
何か新しいことに挑戦したいと思っても、人生も半ばを過ぎれば、なかなか最初の一歩が踏み出せないという方は私の周りにも大勢います。先ほども言いましたが、私自身、一大決心をして大学に入ったわけではありません。初めの一歩はほんとうに軽い気持ちでした。もし合わないと感じたり、自分には無理だと思ったりしたらやめればいい、くらいの感覚で大学に行ってみることにしたのです。
でも、今は毎日が本当に楽しい! 自分の子どものような年齢の東大生に、「すごい、ひとりで培養ができるようになってきたね」なんて褒められると、めちゃくちゃ嬉しくて。大学に入る前の私はまったく無趣味な人間だったのですが、今は壮大な趣味を手に入れたような感覚で、毎日ワクワクしています。フレッシュな感性を持っている若者と過ごすことで、自分の気持ちも自然と若返ると言いますか……。
学部時代のスクーリングの授業で、20歳前後の学生たちと一緒に1週間合宿したとき、授業後にご飯を食べに行ったり、居酒屋に行ったりしたのも楽しい思い出です。