両親がくれた愛を息子たちにも

読者の方からの反応には、「子どもが可哀想」「絶対、イジメられる」といったご指摘もありました。でもその何十倍も「『絶対、イジメられる』という考え方をする、子どもの守り方を知らない人の子どもこそ、いじめる側に立つのでは? そんな意見、気にする必要ない」「愛情あるのみ。全面的に応援します」などの励ましのコメントをいただいたんです。

とはいえ、思春期にはつらい日を迎えるかもしれませんね。私は子どもにあえて「AV女優だった」と告白する必要はないと考えていますが、このネット社会、子どもやその友だちが私の作品を見つけないとも限らない。それによって、もし友だちとの関係がギクシャクして、学校生活に支障が起こったとしても、親子でしっかり話し合い、子どもの意見をじっくり聞くつもりです。

子育てには、さまざまな壁があるでしょう。でも両親が自分にしてくれたことをなぞれば、どんな壁も、乗り越えられる気がするんです。

私の父は、自宅に併設した建物で店を営み、母はその手伝いをしていました。5人も子どもがいて、経済的に大変だっただろうに、子どもたちが「やりたい」と口にしたことは、なんでも経験させてくれた。第四子の私は、バレーボールや鼓笛隊など、5つの習い事をしていました。

母は穏やかな性格で、声を荒らげたためしがありません。お転婆な私は危ないことばかりしていたので、ハラハラする場面もたくさんあったはずなのに、静かに注意するのみ。ただ、高校生時代、一度だけ顔を平手打ちされたな……。夜10時頃にこっそり家を抜け出し小一時間友だちとおしゃべりをしてから、帰宅して玄関のドアを開けたら、母がすごい形相で仁王立ちしていたんです。で、「どこへ行っていたの? こんな夜中に危ない!」とピシャン。普段優しい母が見せた剣幕は、私を猛烈に反省させました。

そういえば、父に叩かれたのも、たった一回。幼稚園のとき、従兄弟にお金をせびり、100円もらって駄菓子を買ったのです。その駄菓子を発見した父は、すかさず「これは、どうした?」。正直に答えると「なんで、他人から大事な大事なお金をもらうんだ」と頭をパシン! ああ、お金ってものすごく大切なものなんだ、と心に刻まれた瞬間です。

いつもの父は、家族第一。たっぷりの愛情を注いでくれました。料理が得意で、毎日朝食作りを担当。ある朝など、大きなまな板を外に出し、マグロを解体していて、綺麗にお皿に並べ、「さぁ、何握る?」。「……じゃ、トロをお願いします」なんて(笑)。家族に限らず、とにかく、人をもてなし、喜んでもらうことが大好きな人なんです。