豪勢に振る舞う人ほど借財に無頓着だ
実は義父が余命宣告された時、私は夫に「同居してもいいよ」と伝えていた。義母をひとりにしておけないと思ったからだ。けれど義母のこの一喝で、考えを改めた。
この人は弱々しい老女のふりをして、本当はなんでも自分の思いどおりにしたいだけなのだ。さらに浪費家で、欲しいモノは迷うことなく買い、お金が尽きたら借金すればいいという考え。こんな人と同居したら、こちらのメンタルがもたない。
人はよく「あの人はケチだ」などと悪口を言うが、借金をせずに自力でやりくりして生活している人を貶すのはお門違いだ。私の経験から言えば、他人に豪勢に振る舞う人ほど、借財に無頓着。気前がいい、あるいは、お金に頓着しない豪放磊落な性格に見られたいという見栄っ張りの自己チューだからだ。優しく気遣いのできる義父が、「同居はするな」と死をもってメッセージを送ってくれたのかもしれない。
そう思えば、義母が亡くなった後の遺品整理は大変だろうが、それくらいは我慢せねばならないのか……。だが正直なところ、あのゴミの山の処分にいくらかかるのかを考えただけで、目の前が真っ暗になってくる。私が倹約して貯めたお金は、結局は義母にむしりとられる運命にあるようだ。
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