お腹がむっくり出た金魚のような姿

しかも、ステージに立つにはお金がかかる。チケットは大量購入でノルマ10万円。だが、友達に私のダンスを見にきてちょうだいなんてとても言えない。数枚配って、あとはお蔵入りとなった。お次は衣裳合わせだ。ロングドレスが5万円。もちろん自費購入である。いつもは「しま○○」のセール品しか着ていないのに。

みなさんはスタイルが良く、Sサイズでも、SSサイズでもスルッと着られる。だが、私はLLでもファスナーがしまらない。「仕方ないわね、安全ピンで留めましょ」と先生。私だけお腹がむっくり出た金魚のような姿になった。穴があったら入りたい。

しかし、無情にも発表会の日が来た。幕が上がると、白い照明がつきささり、頭の中が真っ白になる。1曲目、無我夢中で踊った。恐怖のあまり顔は強ばっていたようだ。もちろん客席を見る余裕などない。後で録画されたDVDを見ると、1人だけ別の振りで踊りながら、自信なさげに下を向いている私がいた。

そうだ! 私は小心者だった。来世のタカラジェンヌならば、「私を見てっ!」とオーラを放つべきなのだ。ところが、私は「見ないでっ!」と思ってしまう。舞台人としては失格なのだ。

来世でタカラジェンヌになるなど、夢のまた夢。それならば、次の、次の百世まで見越して改造計画を練るしかないのだろうか……。

 


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