「毎日来てほしいくらいだ」
訪問当日、紀香さんは仕事が入り同席できなかったので、調理器具や食器の置き場所を書いた付箋を戸棚に貼って家を出たが、その夜、両親の満足そうな表情に迎えられた。冷蔵庫を開けてみると、日付と料理名を書いた保存容器が整然と並んでいる。味見をしたところ、わずか3時間で、ほぼ家にあった食材と調味料を使って作られたことが信じられないほどのおいしさだった、と紀香さんは言う。
「両親に感想を尋ねたら、父は『こんなにおいしい料理は久しぶり。毎日来てほしいくらいだ』って(笑)。口に合わないと途端に食が進まなくなる母も、たくさん食べられたんです」
実は、これまでに何度か、両親の友人が厚意で料理を作りにきてくれていた。ありがたかったものの、味つけの希望や予定の変更を言い出しづらいし、謝礼をいくら渡そうかと悩むのも重荷だったという。「いつかトラブルになってしまうのでは」と常に気を遣いながら頼むよりは、わりきって出張シェフを使ったほうがいい、と紀香さんは気づいた。
「父は、REKIさんの手際の良さと、職人気質なお人柄も気に入ったと話していました。近いうちにまたお願いしたいな、と思っています」
料理をプロに任せたことで、両親が久しぶりに食事を喜んで食べる姿を見られたことが、紀香さんはなにより嬉しいという。