このまま死んでしまうかも

一人暮らしになってから約2週間、週に2回、夫の洗濯物を取りに病院に行く以外は、近くのかかりつけ医を2軒梯子して、自分の痩せの原因と対策を探るべく受診を繰り返した。尿検査や血液検査などからは特定できる原因は見つからず。

家族のための家事もしなくていいし、怒鳴る夫もいない。新聞やテレビを観ることもしなくなり、風呂を沸かして入ることもやめた。買い物やゴミ出しも面倒になって最低限しかしない。

そして一番悩まされたのは就寝時の不安感だった。消灯後の暗闇が恐ろしく、脈拍が100くらいに上昇。あぶら汗がにじんできて呼吸困難になり、このまま死んでしまうかもしれないという恐怖に襲われた。

久しぶりに覗いた鏡に映った自分の顔を見た時は、愕然とした。目が落ちくぼみ、ほうれい線が口角を押し下げ、唇は紫色。顔の輪郭の骨が飛び出し、呪われた「しゃれこうべ」のような形相になっていた。泣きたくても涙も出ない。

私は痩せ衰えてこのまま床の上で朝死んでしまうのかもしれない……。母が言っていた「一人暮らしは死と隣り合わせ」という言葉を曲解して、またまたジコチューな行動に出た。

後編「直腸がん手術後の不安神経症で新婚の娘たちを振り回し、精神病院へ。枯れ枝のような体で這い上がるまで」に続く

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