実年齢の8掛けで考えない?

自分が還暦を迎えてみると、いまなお活躍している先輩たちの偉大さを改めて感じます。中学生のころからずっと好きな矢沢永吉さんと沢田研二さん、そして家族ぐるみで仲良くさせていただいている、五木ひろしさん。どなたも変わらぬ歌声のまま輝いていらっしゃる。とても励まされますし、自分もあと15年はパフォーマーとして現役でいられるように、と目標にしています。

ただ、年齢の数字には縛られたくないと思っているんです。ほら、昔は60歳というと、おじいちゃん、おばあちゃんのイメージだったでしょう? でもいまは違って、みんな顔つきも体もファッションも若々しい。だから僕は「実年齢の8掛けで考えない?」といつも言っています。

いまの僕なら48歳。現役バリバリ! 寿命も延びて人生100年も視野に入ってきているから、8掛けでちょうどいいんですよ。そう考えると、まだまだやりたいことができると思いませんか?

とはいえ、体がついてこなくなる局面が増えてくることもたしか。これはごまかしきれません。僕の場合は、あと5年したら、コンサートでバラード曲を増やしてもいいかもしれない。足を頭の上まで上げるようなキレッキレのダンスが難しくなれば、大人の色気を醸し出せる動きを追求する方法もあるよね。できなくなったことを嘆くんじゃなくて、「違う方法にトライしてみよう」と考えたほうが、きっと楽しいから。

僕のファンには、小中学生だった80年代に田原俊彦を知り、90年代に結婚したり、お子さんができたりして、現在は55歳前後という人が多い。お子さんが巣立って、自分の時間ができ始めている時期です。そして、ネットとかで僕の映像を見て、「トシちゃん、まだ頑張ってるんだ!」と戻ってきてくれる。だから、「年とって残念になった」と思わせたくないよね。「いまもすごい!」と驚かせるのが、田原俊彦なんです。

僕は、まだまだいい服を着たいし、いい靴を履きたいし、いいクルマに乗って、いい女を落としたい。これは田原俊彦という男のサガ(笑)。刻々と人生の残り時間が減っていくなら、「いま」したいこと、できることを、どんどん楽しまなきゃ損。貪欲に楽しいこと、やりたいことを追い求めていきたいと思います。