【左】1981年から87年まで、初代ピーターパンを演じた榊原さん/【中央】6年間の舞台経験が高畑さんの原点になった/【右】10代目の吉柳さんは今年で4度目の挑戦となる

前向きに素敵なことを考える

吉柳 昨年、新型コロナウイルス感染拡大の影響で公演が中止になると決まった時は、頭が真っ白になりました。ぽっかり穴があいた感覚だったけれど、自分にできること、やるべきことは何なのかを考え、ルーティンを崩さないよう早寝早起きを心がけ、筋トレにも真剣に取り組みました。

高畑 えらい! 私はここぞとばかりに堕落していたなぁ(笑)。毎日、寝たいだけ寝て、縦になっている時間より横になっている時間のほうが長いくらい。自粛期間に5キロくらい太ってしまったので、撮影再開の時に慌てて戻しました。仕事がないと、ダメ人間になりますねぇ。

榊原 私や咲良ちゃんは、ある程度の助走が必要なタイプなんですよね。充希は集中力と瞬発力がすごいから。

高畑 いえ、たぶん私は自分に甘いんです……。

吉柳 自粛期間中に、あらためて演者とお客様が一緒に舞台を作っていく、あの一体感を味わえることが、どれほど素敵なことだったのかを実感しました。今回の公演で、この1年間の努力の成果をすべて出したいですね。こういう時期だからこそ、前向きに素敵なことを考える大切さを、『ピーターパン』を通じて皆さんに感じていただければ嬉しいです。

榊原 振り返ってみると、ピーターパンとして舞台に立っていた7年間は、役によって私自身が奮い立たされ、夢の世界に連れていってもらえた時間でしたね。広い劇場で、フルオーケストラで、すごく贅沢な環境でした。

次の人にバトンタッチして、いまや咲良ちゃんで10代目。どんどんピーターパンの世界が骨太になって、広がっているなと感じるので嬉しいですね。だから咲良ちゃんも、「まだまだ誰にもバトンは渡さない」くらいの気持ちで、全力で走ってほしいな。

吉柳 はい、走り続けます!