ブレずにさえいればいいのだ

今回、東京オリンピックが延期になったことで、緊張感を持続させるのが難しいのではないかと心配してくださる方もいます。海外で行われる試合に出ることができないので、最初は焦りを感じました。

でも思えば、修士課程の1年目はまったく海外遠征には出ず、国内参戦のみだった。その経験があるので、あの時と同じだと思えばなんてことないと、自分を信じることができます。とにかく、ブレずにさえいればいいのだ、と。

射撃という競技は比較的息が長いというか、年齢を重ねても続けることができる競技です。日本では競技人口も少ないため、オリンピックの出場も容易だと思われている節があるのですが、競技人口が一人でも二人でも、世界で勝たないと出場枠を獲得することはできません。自分自身、5回も出場枠を獲得できたことは奇跡のようなことだと思っています。

まだまだ6回、7回も目指そう、と言う人もいますが、私としては東京が節目という気持ちです。娘も大学生になり、私も実は昨年の3月に同競技者と結婚し、今回の東京オリンピックで正式採用された男女混合ミックス競技に、ペアとして出場することになっています。東京大会後は人生のセカンドステージ、とでもいうのでしょうか。23年間の競技人生で経験したことを、今度は指導者として還元していけたらと思います。

こうして振り返ってみると、18歳の時まったく未知の分野に飛び込んだのが、人生が大きく変わるきっかけでした。よく「人生でチャンスは3回訪れる」って言いますよね。私の場合、1回目のチャンスはあの時だったと思います。

2回目は、娘を授かったことですね。3回目は、なんでしょう。今後の人生の流れはまだわからないので、なんとも言えませんが。もっと歳がいった時、「それは夫と出会ったことでした」と言えたらいいですね。(笑)

※東京オリンピックで、中山さんは7月28日の「射撃 女子トラップ」に出場予定です。