長男(ロックバンドONEOKROCKのボーカル・Takaさん)は海外で活動し、世界的に活躍する人たちを近くで見ているだけに、こちらが教えられることのほうが増えてきました。次男は会社員になりましたが、三男(ロックバンドMY FIRST STORYのボーカル・Hiroさん)は森内寛樹としてソロ活動も始め、頑張っているようです。

実のところ、息子の芸能界入りについては、諸手を挙げて賛成というわけではありませんでした。僕はたまたまヒット曲に恵まれたけれど、そんなに甘い世界ではないから。百歩譲って「学生時代は学業優先なら」と音楽活動を許していたんです。それなのに勝手に高校を中退したりすれば、それは怒りますよね。長男とは親子喧嘩になったりもしましたよ。紆余曲折のあった親子関係も、ようやく結果オーライになったと思います。

先日お墓参りに行った折に、三男が「僕たち全員、自立したね」と言うのを聞いて、親としての幸せを実感しました。みんな健康で脇道にそれずに育ってくれて、好きなことを仕事にして輝いている。息子たちは僕の誇りです。

 

一人暮らしは忙しい

一人暮らしの70代になって、自分のことは自分でやるしかありません。2度目の離婚後に何でも自分でやろうと決めた。買い物にも行くし、食事も作るし、掃除や洗濯もします。だから僕、オフの日でも朝から忙しいんですよ(笑)。

今後の抱負としては、コンサートのためにも健康でいることですね。そして、いつかはわかりませんが仕事の引き際を見極めたいというのもあります。いまの心境は、「雨が降ってからでは遅い。傘が要らないうちに帰らなくては」というイメージ。そのためには、ちゃんと視野を広げて、世間の動きを読み、自分を客観的に見つめることが大切と思います。

デビューして56年目、おかげさまで昭和・平成・令和と歌い続けることができました。いまでも、歌とは不思議なものだと思います。昔の歌を聴くと「懐かしいな」と感じるのは当然としても、自分が好きだった曲を聴くと、瞬時に「あ、この曲好き」という当時の気持ちが瑞々しく湧き上がってきませんか。

引退するまでにはまだ時間がありそうなので、今後も一曲一曲を丁寧に、心を込めて歌っていきたい。聴いてくださる皆様に喜んでいただきつつ、有終の美を飾ることに努めたいと思っています。