中村メイコさん「人生の最期は家ではなく病院で迎えたい」(写真:講談社)
昭和9年生まれの中村メイコさん。最近では骨折と入院を経験され、コロナ禍で女優業も思うようにならないという毎日を送っています。そのような中で自らの人生の最期を考えたなら、自宅ではなく、病院でその時を迎えたいとのこと。常に明るく生きてきたメイコさんが考える理想の死に方とは――。

「在宅死」より「病院死」のほうがいい

慣れ親しんだ自宅で最期を迎えたい―。

そう考えている人も多いようだが、私は違う。人生のラストシーンはシンプルな病室で迎えたいと思っている。

そのほうが家族は死を受け入れやすいし、後の気持ちの整理もつくからだ。家で亡くなると、そこでまだ私が眠っているような気がして、家族も落ち着かないことだろう。

同居していた姑の最期がまさにそうだった。亡くなった後も彼女の部屋に入ると、最期の日々が思い出されて涙があふれたものだ。家族にそんな寂しい思いはさせたくない。

女優ふうに言えば、家というのは人が死ぬための「セット」として似つかわしくない。やはり病院で死んでいくのがしっくりくるし、人生最後の演技のやり甲斐もあるというものだ。

ひばりさんも、最後の日々は病院で過ごした。私は何度もお見舞いに行ったけれど、家にいたときよりもほっとしているように見えた。

彼女が元気な頃に住んでいた青葉台の豪邸には人が頻繁に訪ねてきて、にぎやかでよかった。でも、病を患って一人で過ごすには大きすぎるし、寂しかったに違いない。