「不動心」で見守りたい

そして、苦労をしつくした照ノ富士に優勝してほしい。でも、倒すとしたら誰だろうとも思う。

急に強くなったり、弱くなったりする予想不能の謎の大関・正代が、照ノ富士に勝ったらどうしよう。「ほかの力士に勝て!」と言いたい。正代は中日、初顔合わせの琴ノ若に上手投げで破れ5勝3敗。正代から必死にやっても力尽きたという「敗者の美学」を感じたい。

カド番の大関・貴景勝は中日で4勝4敗。私は、「痛めた首は大丈夫か、とにかく勝ってよ」と、拝みながら貴景勝を応援している。私は40歳の時、よそ見をしていた運転手の自動車で、乗っていた自転車の前輪を押され頸椎を捻挫した。年のせいか、今その時と同じところが痛くて首にシップ薬を貼って相撲を見ている。悪いところが同じで、頑張っている力士は応援したくなる。

ただし、高血圧で正代や貴景勝のファンの方は、血圧が上がるといけないから、「不動心」で見た方が良い。照ノ富士が横綱昇進の伝達式で言った「不動心」は役に立つ。

中日にして、照ノ富士を追うのは、7勝1敗の前頭十枚目・妙義龍ただひとり。34歳のベテランだ。ベテランといえば、弓取式をテレビで見て驚いた。いつもの人が怪我をしたので代役として第70代横綱・日馬富士時代に弓取式をしていた聡ノ富士(さとのふじ)がやっていた。44歳という年齢を全く感じさせないきびきびした動きに感動した。

中日で関脇・御嶽海、前頭勢の阿武咲、隠岐の海、遠藤、千代の国は6勝2敗。後半の活躍が楽しみだ。小結・高安が3勝5敗と元気がないのが気になる。やってくれると思っていた前頭筆頭・豊昇龍は急性扁桃炎で休場して中日に再出場し、小結・逸ノ城を寄り切って勝ち2勝4敗2休となった。

突然の怪我や病気に耐えながら土俵に上がる力士たち。大相撲は何が起こるかわからない。だから、私はずっと大相撲から人生を学んでいる。

「大相撲から人生を学んでいる」というしろぼしさん(写真提供◎AC)

 

 

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