姿勢の改善と体操で治癒を目指そう
「腰や肩、ひざの痛みの対症療法といえば、マッサージをしたり、湿布を貼ったりすることが一般的でしょう。これらの方法は、一時的に筋肉の炎症を鎮める効果があります。しかし、関節まわりの筋肉の痛みやこわばりは、関節を守ろうとして二次的に起こっていることが多く、マッサージや湿布では治りにくい。しっかりと痛みを取り除くには、根本的な原因に働きかける必要があります」
と語るのは、お茶の水整形外科機能リハビリテーションクリニック名誉院長の銅冶英雄先生。加えて、五十肩、腰痛、ひざ痛など関節痛の原因として、最初に疑ってほしいのは猫背だとも言います。
「背骨を形成しているのは、椎骨(ついこつ)と、椎骨の間にある椎間板という軟骨です。猫背の姿勢を続けると椎間板が圧迫され、椎間板の中にある髄核(ずいこつ)というゼリー状の組織がずれたり、変形したりして痛みが発症。さらに髄核のずれや変形が進むと、近くを通る神経が圧迫され、その先にある関節も痛むようになるのです」(銅冶先生。以下同)
首にある頸椎(けいつい)の椎間板は、肩をはじめとする上半身の関節と関わり、腰にある腰椎の椎間板は、腰やひざといった下半身の関節に影響を及ぼすのだとか。
「スマホの長時間使用が姿勢の悪化につながることはよく知られていますが、掃除や料理などの家事も前かがみになりやすいので気をつけてください。また、リモートワークが増え、デスクワークに適さない机や椅子で作業していたり、ソファや床に座りパソコン画面をのぞき込んだりしている人も、首が前に出て腰が曲がる姿勢を取りがちのため、注意が必要です。意識して胸を張ったり、腰をそらしたりしましょう」
併せて、頸椎と腰椎の体操を行ってみてほしいと言います。
「腰痛とひざの痛みには腰椎の体操を、五十肩には頸椎の体操を試してみてください。痛みが和らぐようなら、そのまま毎日続けましょう。椎間板のゆがみが正され、痛みもなくなってくるはずです」