写真の料理は、いずれも5500円のランチコースから。手前は「皮つきバラ肉のトロトロ煮込み」。添えてある野菜は冬瓜と芥蘭、花椒菜。奥は「前菜の盛り合わせ」。手前から時計回りに酔っ払いエビ、蒸し鶏、グラスにはクラゲの頭の酢の物、押し豆腐の和え物、イベリコ豚のチャーシュー。コースの最後には凍頂烏龍茶のサービスも

 

移り行く季節を舌で感じさせてくれる

銀座の真ん中でゆったりとランチタイム。そんな贅沢なひとときを約束してくれるのが、ここ「上海ルージュ」。今年7月にオープンしたばかりの注目店だ。

腕をふるうのは、あの料理の鉄人・脇屋友詞シェフの懐刀として26年間研鑽を積み、料理長も務めた実力を持つ沖倉康志シェフ、45歳。ここでは、オーソドックスな上海料理をベースに独自のアレンジを加え、日本ならではの旬の味を取り入れていきたいと意欲を燃やす。

ランチの「季節野菜と海鮮の炒め」にしても、脂ののったハタや帆立貝などの海鮮と銀杏やキノコといった秋の味覚を用い、移りゆく季節を舌で感じさせてくれる。

「季節野菜と海鮮の炒め」。内容は季節により変わる。コースには、他にチャイナラビオリことワンタンスープと食事、デザートがつく

また、上海料理といえば、やはり煮込み料理。沖倉シェフも得意とするところで、その一つが、コースのメインでもある東坡肉(トンポーロウ)こと「皮つきバラ肉のトロトロ煮込み」。皮つきの豚バラ肉を、1時間ほど下茹でした後、水と砂糖と醤油で約4時間、ゆっくりと煮込んだ力作だ。

シェフ曰く「じっくりと炊くことで、肉の繊維が壊れる」そうで、ホロリとほぐれる肉とトロトロの脂身とのバランスも上々。口にすれば、口中で優しく一体化、やわらかな旨味がじんわりと広がる。スペシャリテの一つというのも頷ける美味しさだ。