自分が思っている「普通」と距離を置いて
研究者でも、ずっと同じ大学にいる人は、複数の大学を渡り歩いている人より自己認識が弱くなりやすいです。「その大学の基準」が身についてしまうので、評価されないと自分がダメなのかと思ってしまいます。
私自身も、日本にいるときは「なかなか評価されない」と悩んでいましたが、アメリカに行って成果を認められると、自分は間違っていなかったと自信をもつことができました。
さまざまな場所に自分を置いてみると、自分が思っている「普通」の偏りが修正されていくので、こだわりが減り、自由にものを考えられるようになってきます。それに加えて、「普通」という軸の他に、「自分の軸」をもちやすくなります。
私はこれを、普通に対する「対立軸」と呼んでいます。
対立軸をもつことで、「普通」と自分を対比し、自己認識を上げやすくなります。「みんながこうなら、自分はこうしてやろう」とか「自分は多数派とは考えが違うようだ」というふうに、「他人と違う部分」に注目するのです。
先ほどの、姉が勉強なら弟は部活動というのもそういうことです。自分が思っている「普通」と自分の距離を冷静に見ることができると、「普通」に対して自分なりの考えをもつことができるようになります。
こうして自己認識が高まると、周りの顔色に左右されずに、自分の判断で行動しやすくなっていくのです。
※本稿は、『「優しすぎて損ばかり」がなくなる感情脳の鍛え方』(すばる舎)の一部を再編集したものです。
『「優しすぎて損ばかり」がなくなる感情脳の鍛え方』(著:加藤俊徳/すばる舎)
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