「十字架」のバリエーション

なお、十字架の形状には様々なバリエーションがある(図3)。

図3:様々な十字架(『宗教図像学入門』より)

最も一般的なのは横木が上方にある「ラテン十字」である。「ギリシア十字」は縦横の長さが等しく、中央で交差する。ロシア正教会の「ロシア十字」では足載せ台と頭上の罪状書きの短い板が描かれる。

ケルト系の教会で使われる「ケルト十字」はラテン十字に輪を組み合わせたもので、しばしば独特の網目模様をもって装飾的に描かれる。

X型の「アンデレ十字」は、X型の処刑具にはりつけられたとされる聖アンデレに由来するが、文字Χのイメージも合流しているだろう。スコットランド旗に含まれ、英国の国旗の白いクロス部分ともなっている。

さらに教皇の印としての「教皇十字」(横木が三本)などがある。