50パーセントは素の奥村玉緒で

生まれ変わっても勝新太郎の妻でいたいと言いましたが、借金を背負うのだけは二度とイヤですね(笑)。主人の死後、私は14億円もの借金返済に追われましたが、あれは本当にしんどかった。

ところが私は数々の運命的な出会いによって、長いこと時間はかかりましたが、やっと借金を完済することができまして。自分でも信じられへんのです。奇跡だと思います。

1990年、私はナイトクラブで歌を歌って稼いでいたのですけれど、ある日、着物作家の千地泰弘さんから着物制作のお話をいただきました。老舗の呉服店の社長さんをご紹介いただき、発表した「玉緒のきもの」が、当時着物には珍しかった薔薇を入れたデザインが好評で、たくさん売れたんです。

続いて93年には明石家さんまさんとの出会いに恵まれます。トーク番組に出ている私を見てピンときたとかで、『さんまのまんま』に呼んでくださった。そこから、さんまさんのバラエティ番組に出演させていただくようになりまして。さんまさんは私のことを「お母さん」と呼ばはりますが、本当に親子の縁で結ばれているのではないかと思ってるんです。

私はお金には恵まれませんでしたが、人との出会いに恵まれました。仕事を支えてくれる長良プロダクションの方々もそうですし、スロットと麻雀のお友達も。「人はひとりでは生きていけない」というのは、私のためにある言葉みたいですね。本当に、たくさんの仲間に助けられてここまで来ましたから。

今後の目標は、あと3年生きること。3年後くらいにポックリ逝けたら本望なんです。
私は主人亡きあと、半分は男になったと思っています。借金を返すため、子どもたちを育てるため、がむしゃらに働いてきましたから。

でもこれからは、50パーセントは中村玉緒としてお仕事をさせてもらって、50パーセントは素の奥村玉緒で好きなことをして生きたいと思うのです。仕事では気になる方との共演など、もっと新しいことに挑戦したい。もちろん趣味のスロットと麻雀もますます楽しみたいと思うてます。(笑)

玉緒さんがインスタグラムにアップしている書(玉緒さんインスタグラムより)

私はどんなことがあっても、夜には主人の遺影の前でその日の出来事を話して、楽しい時間を過ごします。一日一日を、自由に気取らず、悔いなく過ごしていれば、自然と笑顔になります。笑顔が大事。笑う門には福来るって、ホンマなんですよ。

*中村さんインスタグラム
@tamao_nakamura  https://www.instagram.com/tamao_nakamura/

*中村さんYouTubeチャンネル
中村玉緒の今日のことは今日で忘れる
https://www.youtube.com/channel/UCNjAmNmggymDDwtzYM6puGw