二種のがんをたて続けに体験して
最初のがん宣告を受けたのが、2016年(61歳)の初夏。その年の5月頃から、夜ごと39℃台の熱の出る日々が続いていました。
仕事が立て込んでいたため、医者にもかからず解熱剤でごまかしていましたが、6月に入ったある日、体中の筋肉がけいれんし、動けなくなりました。近所の病院の救 急を受診し、おなかと肺に4リットルの水がたまっていることがわかりました。
後日、東京大学医学部附属病院に移り、精密検査を受けると、「悪性リンパ腫」(ステージ4)と診断されました。
大学が夏休みに入るまで待ち、治療が始まりました。主な治療は、「分子標的薬と抗がん剤による治療」「自己の骨髄造血幹細胞(こつずいぞうけつかんさいぼう)の採取」、そして最終的に「抗がん剤の多量投与」と「骨髄造血幹細胞自家移植」までを行うというものでした。半年にわたる3回の入院を経て、なんとかがんを克服することができました。
大学に戻り、研究生活を再開しましたが、予後も良好で悪性リンパ腫の根治も見えてきた矢先の2020年の夏の終わり、突然黄疸(おうだん)が出ました。調べると、再びがんが見つかりました。
今度は、「肝門部胆管(かんもんぶたんかん)がん」(ステージ2~3)。悪性リンパ腫とはおそらく無関係で、新たに発生したがんでした。胆管は完全に塞がっていましたが、幸運にも外科手術によって根治を目指すことが可能と診断されました。
肝臓の右側3分の2を切除。あわせて、肝外胆管は肝門部から膵すい管かんとの合流部までを胆のうとともに切除し、小腸を用いて胆管を再建しました。同年11月退院。幸いにも経過は順調で、2021年に入ると、大学に戻ることができました。その後も体に変調はなく、仕事を続けることができています。