「どんな病気もつらいですよね、思うように動けないというのは。そこへお金の心配や不安が重なると最悪です」(写真提供:広田さん)
2021年6月に肺がん手術を公表、回復の様子を綴るブログが話題になった映画監督、俳優の広田レオナさん。若い頃から病気の経験は豊富なだけに、向き合い方も心得はあったが、想像以上につらい闘病生活が待っていた。それでも前を向いていられたのは、過去にも逆境を乗り越えてきから。特にお金に困った時期の経験が、今の広田さんの価値観に影響を与えているそうでーー(構成=丸山あかね 写真提供=広田さん)

広田レオナ「肺がん手術後の痛みで心身ともに崩壊。猫背姿の自分に凹み、おばあちゃんといたわられ」〈前編〉からつづく

どうすれば笑い飛ばせるか

今、気持ちを奮い立たせて考えるのは、人のことばかりです。もっと自分を大事にしなさいと、がん封じの神社でも言われたのですけれどね。そしていつも頭の中にあるのは、どうすればこの状態を少しでも明るく笑い飛ばせるのか、ということ。ギャグにでもしないとやってられないと思うから。

どんな病気もつらいですよね、思うように動けないというのは。そこへお金の心配や不安が重なると最悪です。

備えあれば憂いなしと言われますが、どの程度備えるかに正解はないのではないでしょうか。お金の価値観は人それぞれ。みんな育った環境が違うのだから、違うのがあたりまえだと思います。

私自身はお金に対する執着心が、まるでないのです。それは子ども時代、お金があっても幸せではなかったから。