みんなを幸せにしたい
小学校時代に「交通安全週間」というキャンペーンがありました。道に立って、歩行者に「右側通行でお願いします」とアナウンスする役目を担って以来、私は「何かをお伝えするのが楽しい」と思うようになりました。人に物事の本質をお伝えするという原点がここにある気がします。悟りからの叡智を知らせて、みんなを幸せにしたいと思っていることに通じるのです。
私は母子家庭の上に末っ子で、母にべったりだったので、母が近所の女性たちと集まってお話をするところによく立ち会っていました。何につけても嫌な顔をしない母でしたので、みんな話しかけやすいこともあったと思います。また夫を亡くして母も寂しかったのでしょう。だから聞き役に徹してでも誰かとコミュニケーションをとっていたいのだな、と私は察していました。
人はみな、体験したことを何かしら喋って、その感動をシェアしたいのです。「ねえねえ、聞いて聞いて」ということなのでしょう。体調の不安も、お姑さんの悪口も、自慢したいことも、悲しかったことも、悔しかったことも。
喋るということは、内容にかかわらずストレス解消につながるのだなと子ども心に感じていました。喋り尽くした後は、みんなの顔つきが違っている。憑きものが落ちたように、スッキリした表情へと一変するのです。