『婦人公論』3月号の表紙に登場した松坂慶子さん

ようやく「準備が整いました!」

いくつかの作品に取り組むうちに、「女優の自分に戻っていく」という感覚になりました。作品に没頭し、監督さんやスタッフ、共演者の皆さん、協力してくださる先生方と時間をかけて丁寧に作り上げていく醍醐味を味わった、と言えばいいのでしょうか。

20代の頃は、作品のことだけを考えて過ごしていました。でも37歳で結婚してからは、家庭と仕事を両立させたくて。2人の娘が思春期の頃は彼女たちに寄り添いたかったし、60歳からは母と同居していましたので、仕事をセーブした時期もあります。

昨年、母を見送って――娘たちも成長して立派な大人になり、最近は逆に私を助けてくれるので、安心して仕事に取り組めています。

人生を振り返ると、次に行く準備が整ったときこそ、新しい扉が開かれるようです。今回、日本の伝統や芸事の凜とした美しさに魅せられて、お茶、三味線、京舞のお稽古を続けることにしました。

撮影が終わっても習い事を継続するのは、独身時代以来。今年70歳になりますが、ようやく「準備が整いました!」という心境です。

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